Thinking In The Past.

息子とレディーファースト

2018.08.31

つい先日、三歳の息子と友達の同じく三歳の娘さんと一緒に旅行をしました。そ の時に、息子とその娘さんが一緒に車に乗るタイミングがあり、どちらが先に乗 るかで喧嘩になりました。私は息子に、友達を先に乗せてあげなさいレディー ファーストだからねと言ったところ、“なんで女の子を先に乗せなきゃいけない の“と言われました。“それはね、、“と答えようとしたところで、よく考えると どう説明していいか答えに詰まってしまいました。

男女に性差があることは認識されています。スポーツでは男性と女性は違う競技 を戦い、違うチャンピオンが誕生します。100mの男子の世界記録は9″58ですが、 女性は10″47です。400Hのハードルの高さは男女で違います。男性と女性の体力 には差があるからです。
体力だけを考えると優位な状況にある男性が女性に席を譲ったり、女性を優先す るのは合理的と思えます。一方で体力にはそれほど差があるのかという問題は残 ります。男性女性ともに労働時間には違いがありません。スポーツでは持久系競 技ほど男女差が小さくなるというデータがあります。主に立位を保つことや姿勢を保 つことは持久筋が影響しますから、電車で席を女性に譲るということなどは説明 が難しいと言えます。

サンディエゴにいた頃、アファーマティブアクションをテレビで公開議論をして いました。アファーマティブアクションは、これまで環境的に不利な状況に置か れていた人々(有色人種や女性など)を優遇し大学に合格させようという試みだ と理解しています。また、多様性の観点から、普通に試験を行えば偏りが出てし まうものを是正し、単純に成績優秀者を集めるよりも多様な視点を集めることを 優先した施策という見方もあります。
その番組の中で、白人男性が“本来は受かるはずだった白人からすると逆差別で はないか“という趣旨のことを話していて、考えさせられました。

レディーファーストは正しいことなのでしょうか。女性は弱いという前提に立つ こと、それ自体が女性差別を助長してはいないでしょうか。偏見がそれほ ど固定化されておらず、価値観が固まっていない息子に対し、私はどのように答 えるべきだったのでしょうか。立場が弱い人を優遇するべしと教えるべきでしょ うか。でもそうして相手は自分より弱いか強いか判断しなさいと迫ること自体 が、偏見を助長してはいないでしょうか。
また、外見的な差で判断することを押し付けてはいないでしょうか。もしかした ら内面的には性別が別かもしれないのに。一方で、自己申告をもとに性差を判断 するということもあり得ますが、3歳の子供達に自己申告を促してもいいので しょうか。そして、自己申告させようと迫ること自体が、本人たちに余計な悩み を生み、新たな偏見を生み出してはいないでしょうか。

このような考えがぐるぐる回って私は何も言えなくなってしまいました。そし て、気がついたら一通り喧嘩を終えた二人が、すっかり仲直りしてしまっていま した。大人の私は10日以上たった今でも考え込んでいるというのに。何が正しい ことかを考えすぎることで、人間的な営みが阻害されてしまわないようにしない といけないなと反省しました。

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